中国国際弁護士列伝 01
中国弁護士周瑞雪
苛酷な刑事事件を経験、そして日本への留学、
現在は、日系銀行で企業内弁護士として活躍、
多国籍企業を相手に国際法務を手掛ける。
周瑞雪 Zhou Rui Xue 弁護士
1996年中国弁護士資格取得
2004年早稲田大学修士課程終了
中国系及びアメリカ系のトップティアー法律事務所を経て、
現在、三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司の社内弁護士に勤務。
■インタビュー
弁護士を目指した理由は何でしょう。
特に目指していたほどではありません。
でも、確かに幼い頃ドラマの女性弁護士にすごく憧れていました。
大学法律専攻で、卒業後、普通商事会社を経てから、自然にこの業界に入ってきたというかんじです。
弁護士としてのキャリアについて教えてください。
1995年に、司法試験が受かりました。
その後1年の研修弁護士を経て、1997年に、弁護士ライセンスを取得し、弁護士業にかかわり始めました。
最初に取り扱った案件は、主に相続、離婚、交通事故賠償、経済取引紛争などの訴訟案件でした。
また、刑事案件も何件か担当しました。
そして、1999年には、日本に留学し、2004年に帰国いたしました。
帰国後は、非訴訟案件をはじめ、主には、国際M&A、不動産投資、銀行業務及び一般の企業法務を手掛けてきました。
クライアントは、ほぼアメリカや日本などの多国籍企業です。
弁護士となって、はじめての事案は。
弁護士として初めて担当した事案は相続案件でした。
当時はまだ研修弁護士でしたが。
案件の詳細はあまり覚えていませんが、出廷の緊張さ、同胞の兄弟間の争闘像が、記憶に残っています。
現在、主に、どのような事案を担当されていますか。
主に契約のチェック、労務管理への助言など、一般的な企業業務を取り扱っています。
これまで、もっとも印象深い事案は。
いろいろな案件を取り扱いましたが、印象深いのはやはり刑事案件です。
その中でも、バラバラ殺人事件は今でも鮮明に記憶に残っています。
その事案は、依頼者と愛人、愛人の弟、愛人の息子(これは被害者の息子ですが)と一緒になって、愛人の旦那を殺した、という凄惨なものです。
私は、被告人の弁護を担当しました。
被害者(配偶者)は、よく家庭暴力をはたらいていて、無助な妻と息子とは耐え難く、限界に立った末、この悲劇を引き起こしてしまttのです。
殺人者たちに刑罰を科すべきではあるのですが、一方で、家庭暴力に対し、社会からの支援、対応措置の構築はもっと重要ではないかと考えさせられました。
留学は、どのような理由からですか。
日本文化に影響され、日本に憧れていました。
専攻は国際私法です。
日中の司法文化の違いについて教えてください。
日本の司法文化に対し深い知識があるわけではありませんが、中国の裁判では、人脈関係、事案の社会影響などの要素に影響されている傾向があります。
これは、中国は法律よりも権力者の意向が支配的な人治国家であったことの反映であると考えられます。
しかし、これらの状況は経済発展とともに、改善しつつあります。
日本企業の事案を担当する場合、難しいことは。
日系企業に限って気を付けていることや特別、難しいと感じることはありません。
理想の弁護士像について、教えてください。
事業家、法律のスペシャリスト、そして学者といった三位一体として駆使できる弁護士が理想です。
将来、どのような事案を担当したいですか。
いままでの経験を生かし、金融業務全般を取り扱いたいと思います。
印象に残る本について、教えてください。
次の2冊です。
『明朝那些事』
著者:当年明月
出版社:中国海関出版社
『The Twilight Saga』
著者:Stephenie Meyer
出版社:Little, Brown and Company